今日7月19日は52年前、W杯で朝鮮チームがイタリアを1-0で下し準々決勝に勝ち進んだ歴史的な日だが、朝鮮学校(神奈川朝鮮中高級学校)のフェイスブックページが盛り上がった話題は違った。サッカー日本代表FW・本田圭佑瀬選手が、朝鮮学校への電撃訪問のお知らせが投稿され、朝鮮学校生徒、ファン、関係者たちを驚かせた。
ネットニュースのタイトル
朝鮮学校のフィスブックページ
僕がW杯後に朝鮮学校を訪問して伝えたかったこと。
-スポーツから生まれる友情とは時に政治や差別を超える
-どんな状況であれ、良くしたいなら自分から変えること
-自分の国しか愛せないことは悲しいこと
-国益しか考えられない政治家は今後は必要とされなくなっていくhttps://t.co/ZxvMK65jqD
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) October 11, 2018
南北首脳会談で本田選手「友人達よ。本当におめでとう!」に1万いいね
本田選手を朝鮮学校に招いたのは、元Jリーガー・安英学(アン・ヨンハ)選手。二人は2005年名古屋グランパスで共にプレイし、朝鮮語でヒョンニム(お兄さん)と慕われるほど親しい仲だという。
今年5月、本田選手は4月の南北首脳会談に「素晴らしく、歴史的な一歩」「…友人達よ。本当におめでとう!そして乾杯!!」と祝福ツイートでファンを驚かせ「いいね」は現在1万人を超えている。 その後、朝鮮学校に来てもらえないかという安選手から依頼に本田選手は快く承諾してくれたという。
本田選手のツイート(2018.5.5)
少し遅くなったけど、素晴らしく、歴史的な第一歩。
多くの韓国人と北朝鮮の友人達よ。本当におめでとう!そして乾杯!! pic.twitter.com/JXIkivD8WZ
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) May 5, 2018
生徒たちには知らせず、サプライズ訪問
電撃訪問したのは、横浜市神奈川区の横浜朝鮮初級学校と神奈川朝鮮中高級学校。体育館に本田選手が入って来た瞬間、怒涛のような歓声があがった(動画参照)。
今月、ロシアW杯での活躍シーンの記憶も冷めやらぬ、帰国したばかり本田選手が目の前に。
安英学選手との対談では体育館内の暑さも忘れ、聞き入る生徒、先生たち。本田選手から「夢を持つこと。夢を忘れないこと。夢を諦めないこと」という、熱いメッセージが送られ、学校内は希望と友好の空気に包まれた。

同学校の公式SNSでは「本田圭佑選手の素朴さ、力強さ、そしてその素敵さにすっかり魅了されました!」「こんなビッグな方を連れて来てくれた安英学選手のビッグさにも感服」と感動を綴り、学父母や同胞の他に多くの人からコメントが相次いでいる。
SNSの声
フェイスブックに寄せられたコメントをいくつか選んで、一部翻訳。
朝鮮学校に訪問記念のサインも

安英学選手のSNS
安英学選手の動画
本田圭佑選手の社会貢献活動を知る
そんなサッカーの枠を超えた本田選手の、意欲的な社会貢献活動にも触れておこう。色紙とともに写っていた本田選手のサングラスのPAGEマークについて。
ACミラン所属の本田圭佑選手はサッカー日本代表FWとして国内・海外問わず活躍するスポーツ選手である一方、国内外に約70校のサッカースクールを展開する他にも、日本を超えた社会貢献の分野にも注目されている。その一つ、サングラスメーカー「PAGE」の社会貢献活動に賛同、同メーカーのドネーション(寄付)活動を支援していることで知られる。
社会貢献型アイウェアPAGEとは
『PAGE(ペイジ)』とは、Helveticaタイプアイウェア等、ユニークなデザイン眼鏡で知られるオーマイグラスより2018年6月にリリースされたメガネブランド。他にない特徴として、新世代の社会貢献型アイウェアブランドをコンセプトとしている。その企画賛同・サポートにプロサッカー選手・本田圭佑選手を迎え、スポーツを超えた自身のライフワークとなっている。
支援が必要な団体や、子ども達に繋がる寄付活動へ
影響力のある現役だからこそ、世の中に伝えられるメッセージがある。影響力があるからこそ、世界の子どもたちのために今できることをやりたい
そう語る本田選手の社会貢献活動は国際的にも高く評価され、2016年、国連財団「Global Adovocate for Youth(青少年への国際的な支援者)」に選ばれている。

メガネ業界でも、社会貢献活動ができないだろうか模索
そして、無類のサングラス好きとしても知られる彼は、眼鏡を使った社会貢献を模索した結果、日本初のPAGEドネーションプログラムのスペシャルサポーターに名乗り出た。「ひとつ売れたら、すこし寄付」をキャッチフレーズに、PAGEは現在、カンボジアの子供たちの教育・医療の支援団体(NPO)に売上の2%を寄付、その詳細を公式ホームページでレポートしている。趣味と社会貢献をかさね片意地はらない姿勢に感じるものがある。

サングラスがとにかく好きなこと、
その好きなサングラスが1つ売れるたびに貧しい人々に寄付したいという想いが重なったことから、
このプロジェクトが生まれました。
― 本田圭佑
夢を持つこと。夢を忘れないこと。
夢を諦めないこと
朝鮮学校訪問後のタブロイド記事
豪雨災害そっちのけで強行採決した「カジノ法案」。この先ハッキリしていることは、カジノ事業に莫大な血税が投じられ、強大な権力とカネを牛耳る新たな「天下り組織」がつくられるということです。記事は本日の2面に掲載。日刊ゲンダイは駅売店かコンビニでお求めください。 pic.twitter.com/ISPRYskWM0
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) July 21, 2018
補足:今日のこの日は
W杯で朝鮮がイタリア下しベスト8、アジア初(1966.7.19)
1966年7月、イングランドで開催された第8回目のFIFAワールドカップ。初出場の朝鮮は朴斗翼のシュートによりイタリアを1-0で下し台風の目となる。朝鮮はアジア勢としてのW杯初勝利とグループリーグ初突破、ソ連と共に決勝トーナメントへ。大会前の朝鮮チームの評価は低く、賭け率は500対1。各国の記者は、「アメリカがイングランドに勝ったW杯史上最大の番狂わせ(1950年)に匹敵する大番狂わせ」と報道。一方、イタリア選手たちは帰国時、ローマの空港で待ち構えていたファンから卵やトマトを投げつけられるほどだったという。
今では考えにくいことだが、朝鮮のポテンシャルと闘志を感じさせる知る人ぞ知る近代史として、朝鮮学校のサッカー部を中心に熱く語り継がれている。
1966年W杯朝伊戦・写真ギャラリー
